このチュートリアルでは、ディスプレイ対応 GPU をアタッチして、Windows Server 2022 を実行する仮想 Windows ワークステーションを作成する方法について説明します。Google Cloud は、4 つのディスプレイ対応 GPU(NVIDIA L4、NVIDIA T4、NVIDIA P4、NVIDIA P100)を提供しています。
Linux ワークステーションを作成するには、仮想 GPU による高速 Linux ワークステーションの作成のチュートリアルをご覧ください。
仮想ワークステーションを作成した後、PC-over-IP(PCoIP®)テクノロジーを使用する HP Anyware(旧 Teradici CAS)でリモート アクセスする方法について学びます。PCoIP は、メディア、エンターテイメント、ゲーム開発、アーキテクチャ、エンジニアリング業界で広く使用されているリモート デスクトップ プロトコルです。PCoIP は、これらの業界のワークロードに不可欠な機能(色精度、複数モニターのサポート、ロスレス ディスプレイ、タブレットの圧力感度など)を提供します。
このチュートリアルは、Microsoft Windows と PowerShell コマンドラインに精通していることを前提としています。
目標
- GPU を使用して Compute Engine インスタンスを作成します。このインスタンスは、仮想ワークステーションの基盤として機能します。
- 仮想ワークステーションに NVIDIA ドライバをインストールします。
- 仮想ワークステーションに HP Anyware ソフトウェアをインストールします。
- PCoIP ソフトウェア クライアントを使用して仮想ワークステーションに接続します。
費用
このチュートリアルでは、課金対象である次の Google Cloud コンポーネントを使用します。
料金計算ツールを使用すると、��想使用量に基づいて費用の見積もりを作成できます。2023 年 10 月の時点で、このチュートリアルで示しているワークステーション構成の概算費用は 1 時間あたり US$1.08 です。
このチュートリアルで、仮想ワークステーションを構成するリソースとコストに影響する要素は次のとおりです。
- 8 個の vCPU、32 GB の RAM を搭載した G2 標準マシンタイプで、NVIDIA L4 仮想ワークステーション GPU を内蔵。
- 100 GB の SSD を搭載した永続ブートディスク
- インターネット送信データ転送の費用
インターネット データ転送は、仮想ワークステーションからローカルのディスプレイ クライアントにストリーミングされ、インターネット送信データ転送の費用で課金されるデータを表します。PCoIP セッション中のデータ転送に影響を与える変数は、帯域幅、画面解像度、ディスプレイ モニターの台数、使用するアプリケーション、各モニターのアクティビティの種類です。HP Anyware の Session Planning Guide は、さまざまなワークロード要件を理解するのに役立ちます。
始める前に
このチュートリアルでは、Google Cloud CLI を使用します。この CLI は、Google Cloud コンソールから起動された Cloud Shell インスタンスから実行できます。ローカル ワークステーションで gcloud CLI を使用する場合は、Google Cloud CLI をインストールします。このチュートリアルでは、Cloud Shell でコマンドを実行する方法を説明しています。お使いのワークステーションで gcloud CLI を使用する場合、ここでの説明は環境に合わせて読み替えてください。
- Sign in to your Google Cloud account. If you're new to Google Cloud, create an account to evaluate how our products perform in real-world scenarios. New customers also get $300 in free credits to run, test, and deploy workloads.
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In the Google Cloud console, on the project selector page, select or create a Google Cloud project.
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Make sure that billing is enabled for your Google Cloud project.
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Enable the Compute Engine API.
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In the Google Cloud console, on the project selector page, select or create a Google Cloud project.
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Make sure that billing is enabled for your Google Cloud project.
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Enable the Compute Engine API.
また、次の条件が整っていることを確認してください。
- 選択したゾーン内に NVIDIA L4 仮想ワークステーション GPU の割り当てを持つ Google Cloud プロジェクト。
gcloud compute accelerator-types list
コマンドを使用すると、GPU の可用性リストを取得できます。 - Google Cloud コンソールにアクセスするための Google Chrome ブラウザ。
- 最初に Windows インスタンスに接続する RDP クライアント。
- 仮想ワークステーションにアクセスするための最新の PCoIP Client ソフトウェア(Windows、Mac、または Linux 用)。
- HP Anyware ソフトウェアをダウンロードするための help.teradici.com のアカウント。アカウント登録は無料です。
- HP Anyware ソフトウェア ライセンス。仮想��イセンス�����������トするか、HP Teradici の担当者に問い合わせて、この仮想ワークステーションに使用するトライアル登録コードを依頼します。
アーキテクチャ
次の図は、単一の仮想ワークステーションをデプロイするためにこのチュートリアルで使われているコンポーネントを示しています。図に示すオプションのコンポーネントには、仮想ワークステーションに接続するさまざまな方法、共有ストレージ、サードパーティ ライセンスを提供するための追加のインスタンス、レンダリングまたはコンピューティング ファームを表す追加のインフラストラクチャが含まれています。
リージョンを選択する
仮想ワークステーションをデプロイする際に重要になるのは、デベロッパーのロケーションと作成されたインスタンスとの間のレイテンシです。レイテンシが短いほど、より良いエクスペリエンスが得られます。したがって、可能な限り地理的に近いリージョンを選択することをおすすめします。さまざまな GPU が利用可能な場所の詳細については、GPU のリージョンとゾーンの可用性をご覧ください。
Cloud Shell を開きます。(gcloud CLI を使用している場合は、パソコンのターミナル ウィンドウを開きます)。
次に、GPU が利用可能なゾーンのリストを取得します。
gcloud compute accelerator-types list
物理的に最も近いリージョンとゾーンをメモします。
使用するゾーンを設定します。
gcloud config set compute/zone ZONE
ZONE
は、使用しているゾーンの名前(us-west1-b
など)に置き換えます。
マシンタイプを選択する
NVIDIA L4 GPU は、G2 マシンタイプにアタッチされます。GPU を 1 つ以上使用する仮想マシンには、インスタンスに追加する GPU ごとに vCPU の最大数が設定されます。たとえば、各 NVIDIA L4 GPU では、インスタンスのマシンタイプで最大 32 個の vCPU と最大 128 GB のメモリを使用できます。各種の GPU 構成で使用可能な vCPU とメモリの範囲を確認するには、GPU リストをご覧ください。
このチュートリアルの例は、8 個の vCPU の G2 仮想ワークステーションで構成されており、これは、単一の L4 GPU に対する vCPU 32 個の制限をはるかに下回ります。
仮想ワークステーションを作成する
Cloud Shell で、Compute Engine 仮想ワークステーション インスタンスを作成します。
gcloud compute instances create NAME \ --zone=ZONE \ --machine-type=MACHINE_TYPE \ --accelerator=type=ACCELERATOR,count=NUM-GPUS \ --maintenance-policy="TERMINATE" \ --image-project=windows-cloud \ --image-family=windows-2022 \ --boot-disk-size=SIZE \ --boot-disk-type=TYPE \ --network=NETWORK
次のように置き換えます。
NAME
は、ワークステーションの名前です。ZONE
は VM を作成するゾーンです。MACHINE_TYPE
は、事前定義済みまたはカスタムのマシン構成です。ACCELERATOR
は、接続する GPU のタイプ(nvidia-tesla-t4-vws
など)です。NUM-GPUS
は、VM に接続する GPU の数です。SIZE
は、ブートディスクのサイズ(GB)です。TYPE
は、ブートディスクのタイプです。使用可能なディスクタイプのリストを取得するには、gcloud compute disk-types list
を実行します。NETWORK
は、VM を作成するネットワークです。
次に例を示します。
gcloud compute instances create test-workstation \ --zone=us-west1-b \ --machine-type=g2-standard-8 \ --accelerator=type=nvidia-l4-vws,count=1 \ --maintenance-policy="TERMINATE" \ --image-project=windows-cloud \ --image-family=windows-2022 \ --boot-disk-size=100 \ --boot-disk-type=pd-ssd \ --network=default
仮想ワークステーションが作成されると、マシン���ステータスが表示されます。出力は次のようになります。
NAME: test-workstation ZONE: us-west1-b MACHINE_TYPE: g2-standard-8 PREEMPTIBLE: INTERNAL_IP: 10.138.XX.XXX EXTERNAL_IP: XX.XXX.XXX.XXX STATUS: RUNNING
仮想ワークステーションの外部 IP アドレスをメモしておきます。これはチュートリアルの後半で使用します。
仮想ワークステーションの外部 IP アドレスは、Google Cloud コンソールを使用していつでも取得できます。
Windows パスワードを作成する
NVIDIA グラフィック ドライバをインストールするために、RDP を使用して Windows 仮想ワークステーションにアクセスします。RDP でログインするには、ユーザーの Windows パスワードを作成する必要があります。
Cloud Shell で、次のコマンドを実行します。
gcloud compute reset-windows-password VM_NAME
VM_NAME
は、パスワードを変更する VM の名前に置き換えます。確認プロンプトの情報を確認します。
This command creates an account and sets an initial password for the user [username] if the account does not already exist. If the account already exists, resetting the password can cause the LOSS OF ENCRYPTED DATA secured with the current password, including files and stored passwords. For more information, see: https://cloud.google.com/compute/docs/operating-systems/windows#reset Would you like to set or reset the password for [username] (Y/n)?
前のプロンプトを確認したら、新しい認証情報の確認を行います。これは次のように表示されます。
Resetting and retrieving password for [username] on [instance-name] Updated [https://www.googleapis.com/compute/v1/projects/project-name/zones/zone/instances/instance-name]. ip_address: ip-address password: password username: username
これで、新しい認証情報を使用して VM インスタンスに接続できます。
仮想ワークステーションにログインする
仮想ワークステーションの作成が終わったら、マシンにログインして構成できます。
- ローカル ワークステーションで、RDP クライアントと外部 IP アドレスを使用して仮想ワークステーションに接続します。
- 認証情報の入力を求められたら、先ほど作成したユーザー名とパスワードを入力します。
- 証明書に関する警告が表示された場合は、警告を無視して [続行] をクリックします。
仮想ワークステーションのデスクトップが表示されます。起動が完了したら Windows サーバー マネー����������じ���す。
Google Chrome をインストールする
次に、VM インスタンスに Chrome をインストールします。
- RDP セッションで、Windows タスクバーの [スタート] ボタンをクリックし、「
Windows PowerShell
」と入力します。 - Windows PowerShell を右クリックし、[管理者として実行] を選択します。
PowerShell プロンプトで、HTTPS リクエストを有効にします。
[Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol = "tls12, tls11, tls"
Chrome インストーラをダウンロードして実行します。
$installer = "$env:TEMP\chrome_installer.exe"; Write-Host 'Downloading Chrome.' Invoke-WebRequest ` 'https://dl.google.com/chrome/install/latest/chrome_installer.exe' ` -OutFile $installer Write-Host 'Installing Chrome.' & $installer /silent /install | Out-Default Remove-Item $installer
コマンドが完了したら、PowerShell を閉じます。
NVIDIA ドライバをインストールする
NVIDIA L4、NVIDIA T4、NVIDIA P4、NVIDIA P100 GPU は、コンピューティング ワークロードとディスプレイ ワークロードの両方に対応する認定 NVIDIA RTX 仮想ワークステーション(vWS)ドライバを搭載した Google Cloud でのみ動作します。
これらのドライバは、一般公開の Google Cloud ストレージ バケットからダウンロードできます。
- 仮想ワークステーションの Windows デスクトップで Windows PowerShell を開きます。
最新のドライバのリストを取得します。
gcloud storage ls gs://nvidia-drivers-us-public/GRID
2023 年 10 月の時点で入手可能な最新のグラフィック ドライバにアクセスします。
vGPU 16.1 Windows driver (537.13_grid_win10_win11_server2019_server2022_dch_64bit_international.exe)
最新の認定ドライバは常に、バージョン番号が最も大きい
GRID
ディレクトリにあります。この例より新しいドライバがあった場合、そのドライバを使用してください。PowerShell でドライバ���ダウンロードしてインストールします。537.13 より新しいドライバを使用する場合は、それに応じてコマンドを変更してください。
gcloud storage cp ` gs://nvidia-drivers-us-public/GRID/vGPU16.1/537.13_grid_win10_win11_server2019_server2022_dch_64bit_international.exe ` $HOME/Downloads
Windows のファイル エクスプローラを開き、ユーザーの
Downloads
ディレクトリに移動します。このディレクトリで NVIDIA ドライバをダブルクリックしてインストーラを実行します。
表示に従って、デフォルトの場所にドライバをインストールします。
- NVIDIA のライセンス条項に同意するために、[AGREE AND CONTINUE] をクリックします。
- インストール タイプとして [Express (Recommended)] を選択します。
- インストールが完了したら、NVIDIA インストーラを閉じます。
ドライバが動作していることを確認します。PowerShell で次のコマンドを実行します。
nvidia-smi
出力は次のようになります。
+-----------------------------------------------------------------------------+ | NVIDIA-SMI 537.13 Driver Version: 537.13 CUDA Version: 12.2 | |-------------------------------+----------------------+----------------------+ | GPU Name TCC/WDDM | Bus-Id Disp.A | Volatile Uncorr. ECC | | Fan Temp Perf Pwr:Usage/Cap | Memory-Usage | GPU-Util Compute M. | | | | MIG M. | |===============================+======================+======================| | 0 NVIDIA L4 WDDM | 00000000:00:03.0 Off | 0 | | N/A 44C P8 13W / 72W | 94MiB / 23034MiB | 5% Default | | | | N/A | +-------------------------------+----------------------+----------------------+ +-----------------------------------------------------------------------------+ | Processes: | | GPU GI CI PID Type Process name GPU Memory | | ID ID Usage | |=============================================================================| | 0 N/A N/A 6696 C+G ...CBS_cyewy\TextInputHost.exe N/A | +-----------------------------------------------------------------------------+
HP Anyware ソフトウェアをインストールする
HP Anyware ソフトウェアは、仮想ワークステーション上で動作するグラフィック エージェントを提供し、ハードウェアまたはソフトウェア クライアントにデスクトップを提供します。
- Windows インスタンスで、Google Chrome を開き、Teradici サポートページの PCoIP Hosts セクションに移動します。
- Graphics Agent for Windows をダウンロードします。
- まだログインしていない場合は、[Log in to download] をクリックします。
- [Downloads and scripts] をクリックします。
- エージェントのインストール プロセスを完了し、ダウンロードしたグラフィック エージェント実行可能ファイルを実行するオプションを選択します。表示に従ってグラフィック エージェントをデフォルトの場所にインストールします。
PCoIP グラフィック エージェントを登録する
インストール プロセスが完了すると、登録コードの入力を求められます。
[License Registration] ウィンドウで、試用版の登録プロセス中に受け取った登録コードを入力します。
登録コードを入力したら、Windows インスタンスを再起動します。
ファイアウォール ルールを作成する
PCoIP クライアントは、複数のポートを使用して仮想ワークステーションと通信します。仮想ワークステーションへのトラフィックを許可するようにファイアウォール ルールを設定する必要があります。
(仮想ワークステーションではなく)ローカル コンピュータ上の Cloud Shell で、必要なポートを開くファイアウォール ルールを作成します。
gcloud compute firewall-rules create allow-pcoip \ --action=ALLOW \ --rules=tcp:443,tcp:4172,udp:4172 \ --source-ranges=0.0.0.0/0
PCoIP クライアントを使用して仮想ワークステーションにログインする
ローカル PC で、HP Anyware サポートページの PCoIP Clients セクションに移動します。使用中のオペレーティング システムに対応する PCoIP Software Client アプリケーションをダウンロードしてインストールし、起動します。
[Host Address] または [Registration Code] フィールドに、仮想ワークステーションの外部 IP アドレスを入力します。必要に応じて、接続の名前を入力できます。
接続されたら、仮想ワークステーション用に作成したユーザー名とパスワードを入力して認証します。
数秒後に Windows デスクトップが表示されます。
仮想ワークステーションで音声を有効にする
仮想ワークステーションで音声を有効にするには、デフォルトの再生デバイスとして Teradici Virtual Audio Driver を有効にします。
Windows VM で、Windows タスクバーの [スタート] ボタンをクリックし、「
mmsys.cpl
」と入力してサウンド コントロール パネルを開き、Teradici Virtual Audio Driver を初期化します。[はい] をクリックします。Windows により、オーディオ ドライバが動作していることが確認されます。
仮想ワークステーションをテストする
仮想ワークステーションをデプロイした後、さまざまなツールを使用してパフォーマンスとインタラクティビティをテストできます。
- NVIDIA GeForce Tech Demos のいずれかを実行して、Windows ワークステーションのグラフィック パフォーマンスをテストします。
- Unreal Engine、Unity Editor、Blender など、任意のコンテンツ作成アプリケーションをインストールします。
- V-Ray、Octane、Maxon などの一般的なレンダラのベンチマーク ツールを実行します。
- Google Chrome を使用してお気に入りのサイトの閲覧や、YouTube 動画の再生を行います。
ワークロードに応じた PCoIP Performance Optimization の詳細を確認することもできます。
クリーンアップ
このチュートリアルで使用したリソースについて、Google Cloud アカウントに課金されないようにするには、リソースを含むプロジェクトを削除するか、プロジェクトを維持して個々のリソースを削除します。
- In the Google Cloud console, go to the Manage resources page.
- If the project that you plan to delete is attached to an organization, expand the Organization list in the Name column.
- In the project list, select the project that you want to delete, and then click Delete.
- In the dialog, type the project ID, and then click Shut down to delete the project.
すべてのコンポーネントの削除
次のステップ
- 仮想 GPU による高速 Linux ワークステーションの作成方法を学習する。
- Google Cloud 上の NVIDIA RTX 仮想ワークステーションの詳細を確認する。
- NVIDIA RTX 仮想ワークステーション テクノロジーの詳細を確認する。
- HP Anyware ソフトウェアの詳細を確認する。
- PCoIP と他のリモート デスクトップ ソフトウェアの違いについて詳細を確認する。