企業の魅力を発信し、あらゆるステークホルダーとの窓口となる広報担当者を採用したいという企業は多いでしょう。しかし、会社の規模やステージ、理想とする広報活動などによって、採用する人材に求めることは変わってきます。
本記事では、広報担当者の採用の戦略的な実施、成功ポイントなどについてご紹介します。
広報担当者の採用が必要になるタイミング
企業において広報担当者が必要になるタイミングとは、どのようなときなのでしょうか。ここでは、大きく分けて2つのタイミングをご紹介します。
1.企業規模や事業展開が大きくなるとき
ひとつは企業の規模や、展開する事業が拡大するタイミングです。企業として自社が想定するブランドイメージを訴求していきたい、事業を拡大するために、認知度向上のために対外的な情報発信を強化したいなど、積極的な広報活動が必要となるケースが多く見られます。
情報発信の頻度が上がったり、それに伴うメディア対応が増えたりと、専任担当者が必要になるくらいの量の業務が発生してきます。また、ひとつひとつの仕事に丁寧に対応することも求められるため、広報の専任担当を置くタイミングといえるでしょう。
2.広報活動の幅を広げたいとき
もうひとつは従来の広報活動の幅を広げようとするタイミングです。これまでは企業広報と製品・サービス広報をまとめて進めていたが、それぞれに担当を置いてより拡大していきたい、または社外広報と社内広報のそれぞれに注力し拡大したいなど、業務の幅を広げるためにマンパワーを増やしたいというときです。
この場合は増員メンバーの採用となることが多いのですが、自社に今いる人材のスキルセットと拡大したい業務に必要なスキルセットを考え、採用対象となる人材に求めるスキルを具体化しましょう。
広報担当者を採用するときの手順
では、広報担当者を採用するにはどのようなステップが必要なのでしょうか。ここでは採用に必要な要素を、順を追って見ていきましょう。
STEP1.どんな広報活動をしていきたいかを明確にする
自社が理想とする広報活動を明確にします。例えば、業界専門系のメディアへの露出を高めて認知促進したい、SNSでのコミュニケーションを通じて商品の認知度を上げたいなど、実現したいことを具体化していきます。競合企業やユニークな広報活動をしている企業など、ベンチマークまたは参考にしたいところがあれば、採用対象者に求める経験やスキルなどが明らかになってきます。
STEP2.組織の中でどう位置づけるかを考える
広報担当者を採用するタイミングで、どのような組織体制にするのか考えましょう。採用と同時に広報室を立ち上げ、責任者として組織を作っていくことを任せるのか、最初はマーケティング部門や総務部門など、業務上関連が深いと想定される部門に広報担当として配属させるのかなどによって、採用対象者に求めるスキルや経験は大きく変わります。
STEP3.自社の広報担当としてどんな人物がよいかを考える
広報担当者は社内外のあらゆるステークホルダーとの窓口を担います。自社の理想とする広報担当者としての人物像を考えてみましょう。企業理念や事業に取り組む想いに共感できる人物であることも大きな要素です。
STEP4.求める���キルを具体化し選考基準を考える
採用時の配属先から求めるスキルや経験を具体化し、選考基準を明確にします。自社が展開したい広報活動から、広報や業界の経験がどのくらい必要か(あるいは不要か)を考えます。また、組織の中でどうポジショニングさせていきたいのかも重要なポイントです。採用時は関連部署のメンバーだが、将来的には広報室を立ち上げて責任者にしたいなど、中長期的スパンで想定しましょう。
STEP5.理想の人材を採用するための募集方法を考える
最後に募集の手段を検討しましょう。採用対象者に求めるスキルや経験によって、募集の手段が変わってきます。募集に関する手法は、次で詳しく見ていきましょう。
広報担当者を採用する4つの戦略・手法
実際に広報担当者を採用するときには、どのような方法があるのでしょうか。ここでは、4つの戦略・手法をご紹介します。
1.外部から広報経験者を採用する
外部から新たに人材を採用する場合、以下の3つの方法が挙げられます。採用対象のスキルレベル等の条件によって、利用先を選ぶと効果的です。
1.転職エージェントなどを活用して経験者を採用する
ある程度の広報業務の経験を必要とする場合は、転職エージェントを利用するとよいでしょう。自身のステップアップのために、転職エージェントを通じて次のステージを探そうとしている層であるため、働きたいと思う業界や企業イメージ、身に付けたい経験などについてある程度の意思を持っています。自社と条件が近ければ、話が進む可能性があります。また、求職者側も自身が提供できる価値を明確にしているため、双方の条件を合わせやすいでしょう。
2.求人広告(転職支援サイトなど)を活用する
大きな母集団から幅広く募集したい場合は、転職支援サイトを活用するとよいでしょう。自社の採用情報を求人案件として掲載し、興味を持つ人材が応募するというシステムです。登録している求職者は自身のスキルや転職条件などを登録していることが多いため、その情報に基づいて対象となる登録者にスカウトメールを送るなども可能です。
3.社外の広報担当者のネットワークなどにアプローチする
常に新たな広報手段や業界動向などをリサーチしている広報担当者は、社外のさまざまなネットワークに参加していることも多く見られます。次のステージを探している広報担当者は、転職関連サービス以外に自分でも情報収集をしていることが多いので、つながりのあるネットワークに声をかけるのもひとつの方法といえます。そのネットワークの趣旨ありきなので、「いい人がいれば、タイミングが合えば」くらいの心持ちで、採用対象者のスカウト目的がメインにならないように注意しましょう。
2.社内の別組織から異動・ジョブローテーションを実施する
社内の人事異動やジョブローテーションを実施するのも方法のひとつです。広報担当者は、社会や自社のビジネス領域の動向をキャッチアップすることが必要です。その点では、マーケティング部門など関連が深い業務に携わっていた人や、自社の事業に精通し対外的な折衝を行ってきた営業部門の人などに任せてみるのもよいでしょう。
3.社内の業務適性のある人材を育成する
社内人材の活用として、前述した「2.社内の別組織から異動・ジョブローテーションを実施する」のような業務経験があるわけではありませんが、人柄や他者とのコミュニケーションから適性を感じる人材を育成するという方法もあります。企業の広報として重要なビジネスへの理解を深めながら、社外で開催される広報担当者向けの勉強会に参加したり、気になった掲載記事とその情報を発信しているプレスリリースを見てみたりするなどして、広報担当者としての���識と感覚を身に付けていくとよいでしょう。
外部の広報・PRエージェントを活用し一緒に広報活動をしたり、広報コンサルタントに担当者の育成を含めて、広報部門の立ち上げ支援を依頼したりするのもひとつの手です。
4.外部の広報・PRエージェントを活用する
外部人材の採用や社内人材の異動などが難しい、人材確保はできないが広報活動を始めなければならないなどの場合は、外部の広報・PRエージェントなどを活用するとよいでしょう。
プロの手により、必要な範囲の活動を支援してくれます。プレスリリースの作成やメディアへの発信・調整、取材対応、広報記録作成など、幅広い対応が可能です。また、広報部門立ち上げ後も、支援範囲を決めて継続的に依頼する、忙しさに応じて単発的に依頼することなども可能です。効果的に活用するとよいでしょう。
自社に合った広報担当者を採用するときの3つのポイント
では、自社の広報担当者として理想の人材を採用するにはどうしたらよいのでしょうか。ここでは、採用時にチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。
ポイント1.自社の理念や想いへの理解と共感
広報担当者として自社や自社の事業活動を社外、あるいは社内に伝えていくためには、活動のベースにある理念や想いに理解・共感できることが大切です。企業・事業活動は理念や想いを軸に展開しています。「なぜこの取り組みをしているのか」を考えたときに、自社がミッションとするものに立ち返ることで、発信する情報に一貫性が生まれ、企業のブランドを作り上げます。
広報の経験も大切ですが、自社のカルチャーに合うかどうかもきちんと見極めることが大切です。
ポイント2.あらゆるステークホルダーとコミュニケーションできる適応力
広報担当者が社外へさまざまな情報を発信するためには、社内のあらゆる情報が広報部門に集約される必要があります。つまり、メディアなどの社外対応と同じく社内の人とのコミュニケーションも大切な仕事になります。
情報が集まる「ハブ」的な存在になるには、経営層から一般社員、またメディア担当者からも信頼される人間力が必要です。「この人に聞けばわかるかも」「いい形で露出してくれるに違いない」と信頼感・期待感を持ってもらうためには、自社や関連業界に関する幅広く深い知識と広報スキルを培う努力が大切です。また、常に新しいことにも関心を持ち、取り入れようとする姿勢も必要でしょう。
ポイント3.理想の広報活動を実現する経験とスキル
自社が展開したいと思う理想の広報活動のイメージを明確に持ち、その実現のために必要な経験やスキルを具体的にすることも重要です。必要なスキルが、今後自社での成長を見込んで挑戦するレベルで可能なのか、既に経験を持っていないと難しいレベルなのかによっては、希望の広報活動の展開が先送りになる、あるいは不可能になります。その実施内容によっては、会社としても大きなリスクを抱える可能性があるため、事前の条件提示・面談での本人とのコミュニケーションなどを通じて、相互に認識のずれがないようきちんと確認するようにしましょう。
また、わかりやすく伝えるための文章力やコミュニケーション力は前提スキルとして必要です。面談でのコミュニケーションや履歴書などの提出文書に加え、広報経験者であればこれまでに書いたプレスリリースを見るのも有効かもしれません。
社会と自社の窓口となる広報担当者は、会社のステージアップに大きく貢献する
広報担当者の採用について見てきました。自社の取り組みに��義を感じ、想いとともに社会に伝えていく広報担当者の活動は、自社のブランド形成や想いに共感し購買活動や投資活動を通じて事業を支えるファン層を増やすことにつながります。自社の理念に共感し、成長を支える広報担当者は、企業としてのステージアップの実現に大きく貢献するでしょう。
広報担当者の採用に関するQ&A
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