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スポーツにおける暴力・暴言・ハラスメント・差別とは?

スポーツは本来、楽しいもの、爽快感を得られるものです。
しかしながら、スポーツが持つ性質によって、残念ながらときに、その本質に反して、
暴力・暴言・ハラスメント等の行為が起こりやすい環境になってしまう場合があります。

パワーハラスメント

厚生労働省によると「職場のパワーハラスメント」とは、以下の①~③の要素のいずれも満たすものとしています。(※1)

① 優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
② 業務の適正な範囲を超えて行われること
③ 身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

また、パワーハラスメントの具体的な内容を6類型(職場向け)に整理しており、それをスポーツの現場に当てはめて考えると下記のとおりとなります。

スポーツにおけるハラスメント等の行為の種類と事案例
(1) 身体的な攻撃(暴力) ・殴る、蹴る、物を投げつける・けりつける、押し倒す、髪の毛を引っ張る
・過度な罰走、罰として腕立て伏せ(練習の名を借りた暴力)
・暑熱下の状況で水を飲ませない
・根拠のない高負荷な練習を課して選手を負傷させる
(2) 精神的な攻撃(人格を否定するような言動) ・あなたは価値がない、能力がないと言う
・脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言・差別的言動
・人前で、威圧的な態度で大声で執拗に叱責する、無条件で従わせる
(3) 人間関係からの切り離し ・特定の選手を練習や試合から嫌がらせのために外して隔離する
・特定の選手を指導者やチームメイトが集団で無視をして仲間外れにする
(4) 過大な要求 ・競技上明らかに不要なことや遂行不可能なことを強制する
・無理な練習目標を設定し、それができなかったことを厳しく叱責する
・負傷にしているもかかわらず練習を休ませない、試合出場を強いる
(5) 過小な要求 ・競技上の合理性なく、選手の能力や経験とかけ離れた程度の低い練習を命じる
・気に入らない選手に練習をさせない
(6) 個の侵害 ・私的なことに過度に立ち入る
・SNS等を使用して選手への誹謗中傷や、選手に関する嘘(不確かな)情報を流布する
・本人の承諾なく個人情報を暴露する、写真を拡散する

※厚生労働省のパワーハラスメントの代表的な6類型より

虐待

児童虐待防止法第2条において、子どもの虐待とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者)がその監護する児童(18歳に満たない者)に対して行う行為として定義されています。
また、虐待の行為は、以下の4つに分類されています。(※2)

虐待の定義と行為例
(1) 身体的虐待 ・打撲傷、あざ(内出血)、骨折、頭蓋内出血などの頭部外傷、内臓損傷、刺傷、たばこなどによる火傷などの外傷を生じるような行為
・首を絞める、殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、熱湯をかける、布団蒸しにする、溺れさせる、逆さ吊りにする、異物を飲ませる、食事を与えない、戸外に閉め出す、縄などにより一室に拘束するなどの行為 等
(2) 性的虐待 ・子どもへの性交、性的暴力
・性器や性交を見せる行為
・ポルノグラフィーの被写体などにすること 等
(3) ネグレクト ・適切な食事、衣服、住居などを整えず放置する、無関心・怠慢など
・子どもの意思に反して学校などに登校させない(子どもが学校にいけない正当な理由がある場合を除く)
・病気なのに病院に連れて行かない
・乳幼児を家に残したまま外出する
・祖父母、きょうだい、保護者の恋人などの同居人や自宅に出入りする第三者が虐待などの行為を行っているにもかかわらず、それを放置する 等
(4) 心理的虐待 ・言葉による脅かし、脅迫、子どもの自尊心を傷つけるような言動
・子どもを無視したり、拒否的な態度を示したりすること
・他のきょうだいとは著しく差別的な扱いをすること
・配偶者やその他の家族(子どもの兄弟含む)などに対する暴力や暴言(ドメスティックバイオレンス:DV)

※厚生労働省「子ども虐待対応の手引き」より

国際オリンピック委員会(IOC)が挙げる「セーフスポーツ」の理念の実現をめざして、スポーツから根絶すべきとする「ハラスメント」や「虐待」には、次の5種類があります。

 ① 心理的虐待
 ② 身体的虐待
 ③ 性的ハラスメント
 ④ 性的虐待
 ⑤ ネグレクト

いじめ

仲間同士、先輩・後輩の関係におけるいじめもあってはなりません。
いじめの種類には、
 身体的・物理的いじめ(叩く、蹴る、小突く等)、
 精神的いじめ(仲間外れ、からかい、脅し、盗む等)、
 言葉による差別(人種、性、同性愛者嫌悪発言、脅し、誹謗中傷等)
がこれにあたります。SNSを使用したものも近年大きな問題になっています。

差別

差別も論外です。
合理的な理由なく不当に分け隔てすることであり、「年齢、性別、性的指向や性自認、障がいの有無、国籍、文化、言語、民族、人種、宗教などの特徴を理由に、相手の扱いに差をつけたり、相手をあざ笑ったり・侮辱する、さらには集団から排除する、あるいは関わりを否定する言動」等が差別にあたります。

スポーツ界では、選手同士や指導者と選手の間だけでなく、選手とファン・サポーターや選手とメディアの間でも問題となっています。サッカー、スポーツの現場には不要です。
これらは複合してあらわれることも多くあります。

鍵は「傍観者」

そして、鍵となるのが傍観者です。
その物事に関係のない立場(当事者ではないという立場)や態度で見ている人、その場に居合わせている人です。
行動が起こせない、見て見ぬふりをしてしまうこと。これを変えることは勇気のいることかもしれませんが、サッカー、スポーツの現場ではぜひとも無くしていきたいものです。

【参考文献】
※1:厚生労働省 雇用環境・均等局(2018), パワーハラスメントの定義について
※2:厚生労働省(2013), 子ども虐待対応の手引き

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